大人のレッスンでは、その方が好きな曲にじっくり取り組むスタイルを大切にしています。「この曲を弾きたい」「こう弾きたい」という思いや、その方の志向は何よりの原動力になります。ただ、やる気がどれほど強くても、知識がどれほど豊富でも、それだけに頼っていると、思うように進まない場面が出てくることもあります。
頭と心と体が自然につながって上達していけるのは、子どもならではの素晴らしい特性です。一方で、大人の学びには、やる気だけでは超えられない壁があるのは事実。
自然に吸収できる時期を過ぎてからの上達には、少しの工夫と意識が必要です。
2〜3分で構いません。毎日の練習の中に、ほんの少しのテクニック練習を取り入れてみること。「やってみようかな」と思える、わずかな“心の隙間”をもつ、受け容れる勇気を持つこと。それだけで、演奏に変化が生まれます。少しずつ正しく整っていき、弾きごこちが良くなり、指の感覚も鋭くなっていきます。その変化は、確実に音にあらわれてきます。
そんな一歩を、レッスンの中で一緒に積み重ねていけたら嬉しいです。
