弟子

コロナ枠災害の影響はいつまで続くのだろう。ベートーベン生誕250年記念コンサート6月から11月に延期された紀尾井ホール公演へ。ピアニスト渡邉規久雄先生と寺田悦子先生が奏でるベートーヴェンのピアノ連弾のための作品群が一度にまとめて聴けるのは珍しく、絶筆と言われている自身が弦楽四重奏からピアノ連弾に編曲した大フーガ作品134、二重フーガが構築されていく過程はスリリングである。

このシリーズ作品のプログラム解説では、ベートーヴェンの弟子リースの興味深いエピソードが紹介されていた。著者は平野昭先生。クラシック音楽、特にベートーヴェンの専門家で、今年は音楽本の出版やEテレ、題名のない音楽会にも出演するなど、読み手聴き手を惹きつける魅力的な人物であり、ベートーヴェン・イヤーの中心として関わる多忙な有名人である。

ベートーヴェン・イヤーで多忙を極めた平野先生が、勤務先の数ある大学の一つであるT音大の修士課程の最後の学生であった娘と、もう一人の学生をすっかり忘れ、何の役にも立たない名ばかりの教師になっていたのは皮肉なことだった。加えて、コロナ震災の影響で図書館も大学もすべて閉鎖され、外出するのも困難なこの状況は、修士論文をあきらめる絶好の口実となった。コロナ災害の中、私が過去に収集した資料や書籍、コロナ前の閉館直前の年末年始に二人で駆けつけた国立国会図書館で入手した資料、インターネットで大量に購入した書籍の数々を調べながら日々を過ごすこと数ヶ月、締切直前に90歳の私の父(元国立大学教授の祖父)メール添削してもらい娘は修士論文を書きあげ提出した。娘の修士論文は、娘の恩師岡田敦子先生の論文指導と修士演奏のご指導のおかげで、大変良い評価を得た。神様に感謝している。

紀尾井ホールにて♪

投稿者: forestmusic

こんにちは♪ピアニスト・ピアノ指導者、アーティストの演奏会企画をしております。生徒さんとのレッスンは毎回新しい発見があって楽しいです。

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